笛吹けども踊らず 2016 7 30

 今の日本では、
政府が大規模な財政政策を実施しても、
日銀が大胆な金融緩和をしても、効果は薄いでしょう。
 人口の25%が高齢者になってしまった日本社会においては、
財政政策や金融緩和によって消費を喚起できるものではありません。
 人口は変わらないが、消費者が高齢化していく社会においては、
つまり、市場が縮小していく社会においては、
財政政策も金融緩和も効果がありません。
 これは、高齢者がケチだと言っているわけではありません。
人間というものは、年を取れば取るほど消費活動は低下していくのです。
 これは自然の摂理であり、
若者のように「あれも欲しい。これも欲しい」というわけにはいかないのです。
 このような市場を見れば、
企業も積極的な設備投資を行なうことはありません。
 私は、2005年に「人口ピラミッドがひっくり返るとき」という本を取り上げました。
その当時は、「低迷する個人消費、低迷する株価、低迷する地価」の原因を、
バブル経済の崩壊に求めていました。
 つまり、過剰な設備、過剰な債務、過剰な雇用が改善されれば、
日本経済も、元に戻ると考えていたのです。
 しかし、三つの過剰と言われた「設備、債務、雇用」が改善しても、
日本経済は、元に戻ることはなかったのです。
 あの時、つまり2005年に、
「日本社会も日本経済も、人口構造がピラミッド型を前提として成り立っているが、
その人口ピラミッドがひっくり返るときに、どうなるか」と警鐘を鳴らしました。
 あれから、10年以上経過しました。
しかし、日本の政策担当者の頭の中は、
依然として人口構造がピラミッド型であることを前提としているでしょう。
 以上、社会の高齢化について書きましたが、
一方で、私は、2003年から少子化の問題も指摘してきました。
 この当時は、「少子化」という言葉が一般的でなく、
「しょうしか」とは、どういう漢字を書くのかと聞かれたことがありました。
 私は、「少子化のスピードが経営努力のスピードを上回れば、
その経営努力は、すべて水泡に帰す」と何度も警告してきました。
あれから何年経ったのか。
 笛吹けども踊らず。
ただただ時間だけ経っていく。





























































































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